福本伸行の隠れた名作!無頼伝 涯!
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最近は雨も降り出して嫌な天気になって来ましたね。
こんなジメジメして陰鬱な気分になる時こそ、
無理は禁物ですが、会社に行って成果を出したいものです。
こんな嫌な気分だからこそ、それを打破出来る作品を紹介したいと思います。
今回紹介するのは
先日紹介させて頂きました福本伸之先生作品の「無頼伝涯」。
少年漫画でありながら、非常に複雑で、
尚且つ自立と言うテーマに愚直に向き合っている作品です。
僕が十年くらい前に見た時以来、ずっと気に入って見ている作品です。
主人公・工藤涯は養護施設で育った子供です。
涯は物心ついた時から独りで生きたい、
孤独であっても自立したいと言う感情が芽生えます。
結果、14歳の涯はボロボロの廃墟と化したアパートに住み着き、
自分の足だけで生きて行く事に成功します。
そんな中、勿論このアパートも誰かの権利上にあるものですから、
巻き上げ屋の池田と言うチンピラが現れます。
この池田、土地の立ち退き料を目当てに商売している人間でした。
涯はそのアパートに無断で入っていた為、追い出されるかと思いましたが
その池田から出て行かず、ここで立ち退きの依頼が来る為住んでいて良い、
俺もその方が儲けが出ると願ってもいない話をされます。
涯は利害が一致した池田に感謝しつつ生活していましたが、
ある日クラスメイトの平田が家に現れます。
深夜11時にボディガードの依頼をしに来たのです。
不審に思った涯でしたが、車に乗り込み平田の家へ向かいました。
すると、そこには平田家のグループ会長の死体が。
つまり涯は犯人に仕立て上げられてしまったのです。
涯は何の罪もないまま逃走し、警察に連行されます。
連行された後、涯が連れていかれたのは人間学園と言う孤島。
人間学園は悪い事をしてしまった少年を更生させる為の施設として造られました。
しかし、その実態は虐待・洗脳そのもの。
そのトップが澤井課長です。
そんな中で涯は脱出する為に色々な画策を図ります。
少年時代の自立を描いた熱い孤独なストーリーです。
この漫画は5巻で良くここまで表現出来るなと感心してしまいました。
登場人物の中では人間学園側の課長、澤井がトップクラスで大好きです。
性格は非情で、方向性を間違えた思想の持ち主です。
その更生方法があまりにもひどく、
さすがカイジやアカギの福本先生だなと思います(笑)
そこでこの漫画の更生ハイライトシーンをBEST3にしてみました。
3位:電流棒
これは迫りくる天井と対になったものですが、
下がりきった天井の上から人間が歩き、
その穴から電流棒を差し込み更生させると言うもの。
「素直になぁれっ・・!」は趣味の悪い名言ですね。
勿論この上には人間学園側の構成員が立ち、
天井の小さい穴から子供達に電流棒を喰らわせるのです。
電流棒を喰らわせる理由は一つ、澤井課長の質問に答えられるかどうかです。
この質問も当然のように澤井課長の都合の良い事を喋らなければなりません。
例えば「お前達は人間か?」と問うと、子供達は電流棒の怖さに卑屈になり
「僕達は人間ではありません!」と答えます。
すると容赦なく電流棒が子供達に当てられます。
「お前達は人間だろうが!卑屈になるな!」との事。
完全に体罰を与えながらの洗脳なのです。
食事も握り飯を投げられ、用を足すのも窪みの穴にするだけです。
この時7人全員裸です。人権も何もあったものではありませんね。
ちなみに人権を主張しても容赦なく電流棒で制裁されます(笑)
2位:迫りくる天井
漫画を見ている時、この天井のインパクトは凄かったですよ。
伏線が張ってあり、涯達はこのシーンの手前で
階段の踊り場に犬の姿勢のまま立ち上がらない人間を目撃します。
つまり、この人間達は迫りくる天井によって制裁され続けた挙句、
犬の姿勢のまま生活してきた為に立ち上がる事が出来なくなってしまったのです。
それを制裁する前の涯達に見せると言う
サディズムと恐怖感は迫りくるものがありますよ。
「もうこれ以上はしないだろう・・」と言う感覚さえも、
この澤井課長にかかると
「この人なら殺人もやりかねない・・」と思わせる所が恐ろしいです。
実際この天井が落ちてくるシーンのくだりは
これ以上はやらないだろう!と言う事を平気でやってのけます。
その辺りはこの漫画のキーポイントですので是非御覧になって下さい!
1位:人間賛歌
更生とは言っているものの、やはり洗脳の手段だなと感じたシーンです。
散々涯達にひどい虐待を行ってきた澤井ですが、
殺す事までは考えておらず、最初から救う事を考えていたようです。
天井と電流棒に苦しむ子供達を見て、再度澤井は「お前達は人間か?」と問います。
すると子供達は一度澤井に自分達は人間だと言われた事を思い出し、
次々と「人間です!」と答えます。
すると、天井が上がり、祝福するようなBGMが室内に響き渡り、
「そうだ!君達は人間だ!さあ来い!」
といつの間にか敷かれたレッドカーペットを歩いて来いと言うのです。
子供達は救いの手を差し伸べられたと思い澤井に抱き着きます。
涯でさえも涙が止まらないのですが、
涯はこの場面、感情を自分の心の中に直接手を突っ込まれている気分と感じ、
何とかその感情を振り切り逃走します。
このシーンは洗脳の最後の締めと言う感じでしょうか。
散々虐待し、ひどい言葉を放ってきた者に対して、最後の最後に優しい言葉をかける。
少年漫画とは思えないくだりでした(笑)
如何だったでしょうか。
今回は涯の一番の見所、更生シーンを中心にお送りしましたが、
ここから逃走シーンに入り、人間学園内を潜伏して澤井課長及び黒幕の平田を討ち取る為色々な作戦を練ります。
最終的にどうなったかは皆さんの目で見て頂きたいと思います!
当時、この作品は失敗作と作者自身は語っていましたが、
現在のファンの評価を見るとそんな事は全く感じられないと思います。
僕自身もこの作品は大好きで、涯がどうこの人間学園を脱出するのか、
そして自分で立ち上がる事、自立の本当の意味とはどう言う事なのかを考えさせられました。
ちなみに自立と言うテーマは、最後の最後に大きな伏線と共に読者に投げかけられます。
是非是非見て下さい!短い時間で読めるのでオススメですよ!
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