社会風刺アニメ!?京アニの新作「小林さんちのメイドラゴン」の評価
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アニメ制作会社と言えば、まず名前が出るのが京都アニメーション。
「響け! ユーフォニアム」や映画「聲の形」で有名ですね。
そんな京アニの新作「小林さんちのメイドラゴン」は、
萌え&可愛い&面白いだけでなく、社会風刺が入っています。
(※以下、ネタバレがあります。ご注意ください)
小林さんちのメイドラゴンとは?
クール教信者(という名前の漫画家)の漫画を原作とするアニメです。
OLかつSEの小林さんが酔っぱらって山に入り、
偶然出会ったドラゴンのトールを助けたことで、
恩返しのためメイドとして小林さんのマンションに住み込みで
働くようになります。
京アニと言えば、無彩限のファントム・ワールドや
甘城ブリリアントパークのようなザ・美少女が出てくる
作画が綺麗で素晴らしいと評判の会社ですが、
この作品の作画は、歴代の京アニ作品とはちょっと違っています。
ですが、それは原作の雰囲気を大切にしているからで、
十分綺麗な作画ですし、特に戦闘シーンは、
中二病でも恋がしたい!の妄想戦闘や境界の彼方の戦闘シーンを
彷彿とさせるような迫力あるものとなっています。
基本的には、Dカップ(ドラゴンだけに)のトールや
ロリ可愛い子どもドラゴンのカンナをはじめとして、
「可愛いくて萌える」要素と、ドラゴンだけに
人間たちとのギャップがあり、そこに生じる面白さ、
というのがパッと見たときに印象に残るでしょうが、
それだけではありません。
可愛いだけじゃない!社会問題も考えさせられる良アニメ
まず、基本的にトールは人間が嫌いです。
小林さんのことだけは、命の恩人ですし、
大好きなのですが(小林さんに接触したい、
匂いを嗅ぎたい、挙句の果てには老廃物を舐めたい(笑)
などの欲求を持っているほどです)、
それ以外の人間のことは、「下等な存在」であると
思っています。
そんな中で、「ただ嫌い」ではなく、「人間の考え方」や
「習慣」や「よく分からない習性」を見たり聞いたりするうちに、
人間に対する批判が口に出されます。
例えば、
「力のある者はきちんと仲間に取り込もうとする。
やはり幼かろうが人間ですね」
などのように。
そして、小学校に行きたいというカンナが小林さんとトールと
一緒に買い物に行ったときにはこんなことが起こりました。
可愛い文具やランドセルを買ってもらって
ほくほくのカンナですが、上履きを買う段になって、
小林さんとトールとが、こんなやり取りをします。
上履きを、どの子どももみんな同じにしておかないと
いけない、と言う小林さんに対して、
どうしてかとトールが聞きます。それに対して・・・
小林さん「差異を無くすためだよ。(中略)みんな一緒。それが大事」
トール「みんなと違うと、どうなるんですか?」
小林さん「排除される・・・こともある。ドラゴンにはそういうのないかも
しれないけどね。人間は異物を好まないんだ」
トール「ふ~ん。愚かですね」
小林さん「うん、愚かだと思う。でも、みんな怖いんだよ。
普通と違うものって」
人間社会で日々起きている「いじめ」。
それに対する批判が、ドラゴンが人間社会を考察する中で、
そして小林さんが客観的に人間たちを見る中で、発せられます。
異物、つまり他の人とは違う人に対する偏見や差別や
いじめは、一体何故起きるのか?
防ぐために行う「上履きはみんな一緒」というのは、
最善の策なのか?
色々と考えさせられます。
出る杭は打たれる?いじめが起こるまでの流れを描写
目立つ者、他と違う者は叩かれる。それが描写されるのが、
カンナが小学校に転校生としてやった来たときのことです。
外国からの転校生で、可愛くて、勉強も出来て、
スポーツも出来る。
みんなからちやほやされるカンナに対して、
クラスメイトの才川リコが話しかけます。
「あなた!ちょっと目立ちすぎじゃない?」
「勝負よ!小林カンナさん!私が上だって、分からせてあげる!」
「さぁ、腕っ節でも比べる?」
結局この時は、「異物は排除される」と事前情報を得ていた
カンナが、機転を利かせて嘘泣きをしたことで、
才川リコは謝り、事なきを得ました。
実は才川リコは、カンナと友達になりたかっただけで、
それを素直に言えない、という性格上の問題で
上記のようなやり取りが生まれてしまったのですが、
実際の社会でも、「目立つ者」は他の者たちから
攻撃されることはよくあることです。
可愛らしい小学生のやり取りの中に、
子どもの中のみならず人間社会全体で起こる
いじめへの問題提起がなされています。
小林さんたちSEの社畜っぷりも社会風刺
基本的には、ドラゴンたちとの交流または
ドラゴンたちが人間社会にどう馴染んでいくか、
人間たちとどうコミュニケーションを取っていくか、
という部分に尺が取られていますが、
たまに、小林さんたちSEが会社でこき使われている描写が
入ってきます。
仕事が忙しすぎて、満身創痍になっている様子や、
小林さんの同僚である滝谷真とべろんべろんに酔っ払うまで
飲んで、メイドや執事といったオタク趣味全開で
叫びまくったり、トールに対してキツ目に当たったりするのは、
きっと普段のストレスから来る反動なのでしょう。
2016年に大きな問題となった長時間労働やそれ以前からあった
ブラック企業に対してもここで問題提起をしています。
まとめ
登場するドラゴンたちが可愛いくて、
人間たちとドラゴンたちの考え方のギャップで笑わせられますが、
それだけではなく、社会問題を提起し、どうすれば解決
できるのかを考えさせられる良作です。
何故起こるのか?どうしたら良いのか?
まずは深く考察することが問題解決の第一歩でしょう。